産卵・孵化・初期飼育
さあ、いよいよメインイベントの産卵・孵化です。
まつ毛ほどの稚魚が、だんだん大きくなって来る様子は、感動すらあります。
ここでのポイントは「水の汚れ防止」です。
孵化から全長(尾も入れて)2センチ位が、もっともデリケートなところですので、毎日必ず世
話をしてください。
@刺激して産卵を促します。
成熟したオス・メスであれば、前ページまでの状態で放っておいても産卵します。
なかなか産まないようであれば、水換えをします。
きれいな水は発情を促しますので、私は毎日50%ずつは交換しています。
それでもダメなら、ある程度水換えしないで放って置き、急にきれいな水に換えてあげるのも
刺激を与えるようです。
A稚魚孵化飼育用ケースを用意します。
いつ産むかわかりませんので、毎日必ず新しい水を汲み置きします。
そうしてヒーターで20℃に維持し、エアレーション(ブクブクの泡)をして置きます。
古く痛んだ水を使用すると、孵化しないこともありますので、めんどくさがらずに毎日新しい水
を準備して置きます。
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産んでからあわてないように準
備万端!
(写真使いまわし)
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言うまでもないことですが、孵化中もそれ以降の飼育でも、エアレーションは忘れてはいけま
せんし、停電時に短時間で窒息するような過密飼育にしてはいけません。
B産卵したら産卵用魚巣(ボンボン)ごと稚魚孵化飼育用ケースに移します。
金魚の卵は見落としやすいので、必ず反対側から光を当てて観察します。
産卵は早朝から午前中に行われることが多いので、少なくとも朝晩必ず点検するようにしま
しょう。
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見慣れないと見落とします。
金魚が追尾行動を取り始めた
ら、じっくり観察してください。
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形状はちょうど「細かい泡がくっついている」様な感じです。
大きさは2ミリ前後ですが、メスによる個体差が大きいので、よく観察する必要があります。
発見したら魚巣から落とさないように、そーっと稚魚孵化飼育用ケースに移します。
もちろん水槽でも大丈夫ですが、小さいうちはこまめなメンテナンスが必要なので、あまり重く
ない衣装ケース・大き目のバケツなどが便利です。
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孵化させたケースで、ある程度
大きくなるまでそのまま育てま
す。
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薬剤で卵の殺菌をする人もいますが、普段の衛生状態を保っていれば、しなくでもじゅうぶん
高い孵化率を得られます。
また、卵は日光に当てるのが良くないようですが、私は特に気にしたことがありません。
C水温を飼育水温(30℃)まで上げていきます。
最初に書きましたが飼育温度は30℃です。
卵や稚魚は弱いので、毎日1℃位ずつあげます。
このペースだと、4日目(水温23℃の時)に孵化します。
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この瞬間の感動が忘れられず、
みんなはまっていきます。
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またこの温度だと孵化後3日目にはほぼ全ての子が泳ぎだしますので、よく茹でた卵の黄身
を茶漉しでこしながら与えます。
卵を与える前に、必ず産卵用魚巣を出してください。
よく振らないと結構稚魚が残ってしまいます。
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卵はかた茹でです。
人間の食べるのと一緒の時は、
一旦黄身だけ取り出して、電子
レンジで再加熱しましょう。
通常茹で時間14分くらい。
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翌日からブラインシュリンプを与えますので、卵の黄身を与えた日に孵化器にシュリンプの卵
をセットしておきます。
ちなみに私の都合で、給餌・水換えは朝1回のみとします。
どうせ1日1回しか作業できないのですが、餌の食いは昼間の方がよいので、朝に作業する
ことにしてます。
D孵化後4日目に水を全換えします。
卵の黄身を与えた翌日、初めての水換えをします。
これ以降水深は20センチ以下にします。
ここからの2週間ほどの作業が一番大変なのですが、まず水温を合わせたきれいな飼育水
を用意します。
昨日までの飼育水は食べ残しや糞で汚れていますので、大きなゴミをスポイトで取り除き、残
った飼育水を稚魚ごと茶漉しでこします。
茶漉しに残った稚魚を新しい飼育水に移していきます。
1センチほどになると天カス取りですくえるようになりますので、金魚すくいの要領で新しい飼
育水に移すようにすると、だいぶ作業は楽になります。
茶漉しや天カス取りを使用すると稚魚に傷が付くように思いますが、やさしく扱いすれば特に
問題は起きないようです。
E孵化後4日目からブラインシュリンプを与えます。
初めての水換えをしたら、飼育水を0.1〜0.2%(水10Lに塩を10〜20g)にし、ブライン
シュリンプを与えます。
塩を加える理由は、毎日1回の給餌でも海の海老であるブラインシュリンプが生きていて、稚
魚がいつでも生餌を食べれるようにするためです。
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えさ開始から10日間は、毎日
世話をしましょう。
この時期に1日不在にすると、
翌日のシュリンプのセットもせき
ません。
そういう時は卵の黄身で代用し
ても大丈夫です。
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与える量は水換え時に食べ残し状況を見て決めます。
多少餌が足りなくても成長が遅れるだけです。
なかなかシュリンプの卵の量で、どれくらいの稚魚に餌が足りるのかを想像するのは難しい
ことですので、給餌しながら量を調節します。
この作業を稚魚が人工飼料を食べれるようになるまで(尾も入れて全長2センチ程度)、1〜
2ヶ月間行います。
あまりに飼育が過密だと成長が遅いので、次ページ以降のように飼育数を減らしていくことを
お勧めします。

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